硫酸塩泉とは
硫酸塩泉は、陰イオンの主成分が硫酸イオン(SO₄²⁻)である温泉です。陽イオンと組み合わさり、ナトリウム硫酸塩泉(芒硝泉)、カルシウム硫酸塩泉(石膏泉)、マグネシウム硫酸塩泉(正苦味泉)の3種類があります。
肌に水分を運んで皮膜を作るため、保温・保湿効果が高く、しっとりとした肌になります。炎症を鎮静化したり、傷を治す効果から古くから「傷の湯」と呼ばれてきました。
入浴の効果と作用機序
硫酸塩泉の浴用適応症は「きりきず」「末梢循環障害」「冷え性」「うつ状態」「皮膚乾燥症」の5つです(鉱泉分析法指針 泉質別適応症)。中心となる作用機序は 硫酸イオンの抗炎症・血管壁強化作用 と 肌に水分を運ぶ保温皮膜。動脈硬化症への伝統的な湯治適応もこの血管作用に由来します。
きりきず・傷の治癒
硫酸イオンには 創傷部位の炎症を鎮静化 する作用があるとされ、痂皮形成・組織修復をサポートします。これが「傷の湯」と呼ばれる所以で、江戸時代から打撲・切り傷の湯治場として親しまれてきました。
末梢循環障害・冷え性
硫酸イオンには 血管壁を強化 する作用が報告されており、末梢血管の弾力性を保ちつつ温熱で血管拡張を促します。保温皮膜により湯上り後も末梢の血流が長く維持され、冷え性に効果的です。
うつ状態
温熱・浮力・静水圧による副交感神経優位化に加え、硫酸塩泉の しっとりとした湯触り と保温感が、心身を「コントロールしようとする緊張」から解放します。湯治場で長期療養が行われてきた歴史も、この鎮静作用の長期効果を裏付けています。
皮膚乾燥症
カルシウム・マグネシウムなどの陽イオンと硫酸イオンが結びついて 肌に水分を引き寄せる皮膜 を作り、湯上り後の水分蒸散を抑えます。塩化物泉ほど強い保護膜ではないものの、より穏やかで肌にやさしい保湿が特徴です。
飲用の効果(飲用適応症)
飲用すると胆のうを収縮させ腸のぜん動を活発化します。胆道系・脂質代謝・便通の3方面に作用します。
- 胆道系機能障害飲用することで、硫酸イオンが胆汁の分泌を促す作用があります。胆汁の流れが良くなることで、胆のうの働きを助け、機能の改善が期待されます。
- 高コレステロール血症胆汁の原料はコレステロールであるため、飲泉により胆汁の分泌が促されると、体内のコレステロール消費も高まります。これにより、血中コレステロール値の低下が期待されます。
- 便秘特にマグネシウムやナトリウムを多く含む硫酸塩泉(正苦味泉・芒硝泉)にみられる効果です。腸内の水分量を増やして便を柔らかくし、腸の動きを活発にすることで、お通じを改善します。
硫酸塩泉の入り方のコツ
- 15〜20 分くらいゆっくり浸かることで、保温効果が長く続きます。硫酸塩泉は肌に水分を運び、保温効果のある皮膜を形成します。この作用を十分に引き出すには、時間をかけてじっくりと温まることが大切です。これにより、湯上がり後も末梢の血流が維持され、冷え性の改善に繋がります。
- 湯上りは温泉成分を流さず、タオルで軽く拭き取って保湿効果を持続させましょう。硫酸塩泉の成分は、肌の表面に保湿・保温効果のある皮膜を形成します。シャワーなどで洗い流してしまうと、この効果が薄れてしまいます。温泉の恵みを肌に残すため、タオルで優しく水分を押さえるように拭くのがおすすめです。
- 怪我の治癒目的の場合、患部を湯に浸す形で 1日 2〜3 回入浴するのが伝統的な湯治法です。硫酸塩泉は古くから「傷の湯」と呼ばれ、切り傷などの治癒に利用されてきました。硫酸イオンが持つ炎症を鎮める作用を最大限に活かすため、患部に温泉成分を繰り返し届けることが目的の伝統的な入浴法です。
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参考文献
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