炭酸水素塩泉とは
炭酸水素塩泉は、陰イオンの主成分が炭酸水素イオン(HCO₃⁻)である泉質です。家庭用の重曹(ベーキングソーダ)と同じ成分系で、古くから「重曹泉」とも呼ばれます。
入浴すると、重曹が皮膚の角質をやわらかくし、古い角質や皮脂を石けんのように洗い流します。湯上りに肌がつるつる滑らかになることから、「美人の湯」として親しまれてきました。
入浴の効果と作用機序
炭酸水素塩泉の浴用適応症は「きりきず」「末梢循環障害」「冷え性」「皮膚乾燥症」の4つです(鉱泉分析法指針 泉質別適応症)。中心となる作用機序は 重曹(HCO₃⁻)による角質軟化 と 皮脂の乳化除去。古い角質と一緒に汚れが落ち、清涼感のある湯触りが生まれます。
美肌効果(角質軟化)
重曹は弱アルカリ性のため、肌表面の 角質層を構成するケラチンを一時的にやわらかく します。古い角質と皮脂が浮き上がり、湯の中で穏やかに洗い流されることで、湯上りに「つるつる」の感触が生まれます。これが俗にいう 「美人の湯」 の正体です。
きりきず(切り傷)
重曹の弱アルカリ性が皮膚表面の細菌増殖を抑え、穏やかな洗浄作用で創傷部位を清潔に保ちます。塩化物泉ほど強い保護膜は作らないものの、肌に優しい清涼感のある創傷ケアが期待できます。
末梢循環障害・冷え性
温熱効果で末梢血管が拡張し、血流が促進されることで手足の冷えが緩和されます。塩化物泉のような保温皮膜は作らないため、湯上り後の保温持続性は控えめですが、入浴中の清涼感と血行促進 のバランスが特徴です。
皮膚乾燥症
角質軟化で乾燥した古い角質が取り除かれ、その下の新しい角質層が表面に出ることで肌のなめらかさが回復します。ただし皮脂も一緒に落ちやすいため、浴後の保湿剤併用が必須。重曹で「整える」、保湿剤で「守る」の2段ケアが理想的です。
飲用の効果(飲用適応症)
炭酸水素塩泉は飲泉でも幅広い適応があります。胃酸を中和する作用と糖代謝・尿酸代謝への作用が知られています。
- 胃十二指腸潰瘍
- 逆流性食道炎
- 耐糖能異常(糖尿病)
- 高尿酸血症(痛風)
炭酸水素塩泉の入り方のコツ
- 重曹で角質が落ちやすい泉質のため、入浴後はやや乾燥しやすい。保湿クリームでケアしましょう。
- 湯上りは温泉成分を流さず、タオルで軽く拭き取ると効果が持続します。
- 美肌目的なら 10〜15 分の入浴を 2 回程度。長湯すると角質を取りすぎて逆効果です。
おすすめの「湯めぐり」順
炭酸水素塩泉 → 硫黄泉 → 塩化物泉(または硫酸塩泉)の順は、重曹で角質を落とす → 硫黄泉で血行促進 → 塩分で保湿コートという、王道の美肌湯めぐりです。
参考文献
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