軽症高血圧症は全10泉質の一般適応症
環境省の温泉適応症では、「高血圧症(軽症)」は温泉一般の効果として全10泉質に共通する一般適応症として位置づけられています。温泉入浴の基本的な温熱・水圧・浮力効果が、軽度の血圧改善に寄与すると考えられています。
高血圧症に関わる温泉成分
高血圧症で特に注目される成分は遊離二酸化炭素です。皮膚から吸収されたCO₂が末梢の細動脈を拡張し、末梢血管抵抗を下げることで入浴中の血圧を一時的に低下させます。
二酸化炭素泉(炭酸泉)が特に注目される理由
全泉質が一般適応症として認められる中、二酸化炭素泉は高血圧症への特異的な作用で温泉医学において特別な地位を占めます。
- CO₂が皮膚から吸収され、末梢血管(細動脈)を直接拡張する炭酸泉に含まれる二酸化炭素(炭酸ガス)は、皮膚から直接吸収されるという特徴があります。体内に取り込まれた炭酸ガスは、手足の末端にある毛細血管や細動脈を直接広げる作用を持ち、血行促進に役立ちます。
- 末梢血管抵抗が低下することで、入浴中の血圧が一時的に低下する血管が拡張すると、血液が体内を循環する際の抵抗値(末梢血管抵抗)が下がります。これにより心臓の負担が軽減され、入浴中の血圧を一時的に下げる効果が期待できます。この作用が高血圧症の緩和に繋がると考えられています。
- ぬるめ(38〜40℃)での入浴が可能なため、熱い湯による血圧急上昇を避けられる炭酸泉は、炭酸ガスの効果で実際の湯温よりも温かく感じられるため、38~40℃のぬるめの湯でも心地よく入浴できます。熱い湯(42℃以上)が引き起こす交感神経の興奮や血圧の急上昇といったリスクを避けながら、体に負担をかけずに温泉効果を得られるのが大きな利点です。
- 心臓への負担が少なく、欧州では心臓リハビリにも活用されている血管を広げ、ぬるめの湯で入浴できる炭酸泉は、心臓への急激な負担が少ないという特徴があります。血圧を安定させながら心機能をサポートすることから、ヨーロッパの一部の国では「心臓の湯」とも呼ばれ、心臓病後のリハビリテーションにも応用されています。
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高血圧症の方が温泉を利用する際のポイント
- 湯温は 40℃以下 を推奨。熱い湯(42℃以上)は交感神経刺激で血圧が急上昇するリスクあり42℃以上の熱いお湯は交感神経を刺激し、血管を収縮させるため血圧が急激に上昇する危険があります。心臓への負担を避けるためにも、体温より少し高い程度のぬるめのお湯でリラックスして入浴することが大切です。
- 長湯(15分以上の全身浴)は避け、半身浴・部分浴を活用する全身浴で長時間お湯に浸かると、水圧による心臓への負担が大きくなります。胸の下まで浸かる半身浴や、手足だけを温める部分浴は、心臓への負担を軽減しつつ血行を促進するのに役立ちます。
- 入浴前後の水分補給を忘れずに入浴中は発汗により体内の水分が失われ、血液の粘度が高まりやすくなります。これは血圧の変動や血栓のリスクを高めるため、入浴前後にコップ1杯程度の水分を補給し、脱水を防ぐことが重要です。
- 脱衣所・浴室の温度差(ヒートショック)に注意する寒い脱衣所から熱い浴室へ移動する際など、急激な温度変化は血管を収縮させ、血圧を大きく変動させます。この「ヒートショック」は心筋梗塞などを引き起こす危険があるため、特に注意が必要です。
- 食後1時間以内・飲酒後の入浴は避ける食後は消化のために血液が胃腸に集まります。この状態での入浴は、血流が分散して心臓に負担をかけます。また飲酒後の入浴は、血圧が急低下して意識を失う危険があるため絶対に避けてください。
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